9月30日 登山開始5日
本日の状況と体調
Gillman’s Point (85mおまけで)登頂成功 5685m →ホロンボHUT 3700mまで下山
健康状態(アタック時);筋肉疲労(足)の限界、重い高山病(目眩や意識がとぶ)、眠気、水分不足、微熱(寒気)、下痢、食欲なし
血中酸素濃度;60〜70%
タイムスケジュール
29日
22:00 起床
22:30 ビスケットとHOTtea
23:30 アタック開始 3m毎に肉体疲労と呼吸困難でとまるような状態
30日
1:00 5000m ウイリアムPoint到達 水筒が凍って飲めない! 脱落者が続出
4:00 5200m 付近まで到達 風邪で体温調整機能が効かない。6枚も着込んでいるのにすごく寒い
6:14 5400m 付近 朝日を拝む ザックはガイドにもってもらう 5回呼吸をしてやっと一歩 カロリー、水分がなくなる
8:14 5600m 付近 体力と時間の限界、だが Gillman’s Point (85mおまけで)登頂成功 5685m
13;20 ポーターが5000m付近まで迎えにきてくれた。
14:20 両脇を抱えられながらKibohutへ帰還、そのままテントでピクリとも動かずポーターに靴まで脱がしてもらう始末
15:20 キボハットを出発。あたり一帯に雹が降り始めていたため、早く下山したほうが良いとのことレスキューを頼もうと言ってきたので断った。悩んだけど
20:30 ホロンボ HUT に到着 2hだと言っていたが、休み休みだったためか5時間かかった。
最後の1kmはポーターが迎えに来てくれた。
21:00 就寝
キリマンジャロ体験記
登頂アタック開始 1歩がでない!!
起床してから準備に入る。食欲はないもののシリアルと水分だけは取るようにし、ちょっと早いが先ほど取った薬を飲んだ。準備ができたので出発したのだが、3歩歩いてみてこれはすぐにヤバイと思った。足が筋肉疲労ですぐに動かなくなるのである。地上であれば筋肉痛ぐらいで歩けなくなることはない。ただそれは酸素があればである。一歩踏み出すこと際にふくらはぎから乳酸がでてきてそれが膝を通って太もも全体に広がり腰のあたりまで来るのがわかる。きっとこれが全身に回る前に抑える必要があり、身体中の酸素が消費され酸欠状態になるため呼吸困難になる。息が整ってからまた一歩を踏み出す。呼吸を続けていくと体温と水分が失われる。ただし下痢、食欲低下、風邪の初期段階ということもあり、もう寒さは我慢。水分も凍っちゃったので溶けるまで我慢。
いつのまにか最後尾
周りのチームと比べてもっとも早く出発したのにすでに最後尾になっていた。それほど遅かった。ガイドはポレポレ(ゆっくりゆっくり)と叫んでいたが明らかに早い。付いていけない。ガイドは呼吸音が聞こえないのにまったく余裕がある。まったく不公平である。
ヨーロッパのチームが多く、アジア人は見当たらなかったが、みんなチームの中で何人か脱落者がでていた。ただみんな俺よりもハイペースだったのだが、危険だと判断していたみたい。俺を抜かしていき、俺よりもはやく下山してしまった。
キリマンジャロ登頂はSmall Challenge。だけど。。。。
ガイドからアタックチャレンジする前にキリマンジャロはsmallチャレンジで、あなたの人生の方がよりビックな挑戦なんだ だからここで無理をしてあなたの今後の人生に影響があってはならない。
アタックをするにあたり2つの約束事をした、一つは酸素濃度。おそらく50%台になったらもう下山決定。とても危険。もう一つは自分の症状を隠さないこと。そりゃもっともだが時間とお金をかけて挑戦している以上、こっちもそんな簡単には引けないのだ。
主な会話
俺「もう5000m ?」
ガイド「まだ4900mだよ、あと少し」
俺「まじか〜さっきもきいたよそれ」
ガイド「almost there、 Not So Far」
俺「OK (う〜ん まだ遠いなこりゃ)」
ガイド「体調はどう?」
俺 「足が〜足が〜very tired」
ガイド「ポレポレ〜」
俺 「ポレポレ〜」
ガイド「(苦しそうなおれをみながら)What is your suggestion?(もうやめた方が良いんじゃない?みたいな雰囲気)」
俺「keep going and pushing on!!」
ガイド「OK 」
5000mを超えて
5000m付近までくるともう雪に覆われた雪山になっていた。
休憩を取りたいのだが、止まっていてもただ体力を消費(安静時心拍数が約120)し、体温上がらずも水分(すでに凍ってた)もないため、短時間で行くことになる。ここでは休憩が休憩にならないのだ。
5200m到着
最後の難所に到着。傾斜が40度はありそうな急斜面をジグザグの道で上がっていく。土というよりも柔らかい砂になっていてうまく踏み込めない上、体力をより消耗する。これが最後の最後の難関。水も体温も体力もないことは自分が一番よくわかっていた。もう気迫と根性だけ。
5400m 到着
いつの間にか朝日が上がっていた。
朝日で気温は上昇していくがなかなか体温が上がらない。やはり問題は風邪をひいて体温調節機能が低下していることにあると思われる。なにしろスノボウェアを含めて6枚着込み、全身にホッカイロ(大) が14枚 ホッカイロ(小)が6枚貼っていて、心拍数が300以上なのにもかかわらず汗をかかないどころかめっちゃ寒い。
5600m到着
すでに朝になっており、他のチームは登頂が成功し全員下山してしまった。あと85m。ここで雪山の難敵である眠気がでてくる。心拍数140で眠いのだ。最後に降りてきたいろいろとよく世話してくれていたスコットランド人が心配してくれた。その方のガイドが下山を勧めてきた。いまのペースだとあと2時間かかる上、体力的にも限界だろうと。登頂したとしてもその時には周りに誰もおらずいざという時にはサポートする人はガイド1人しかいない。とても危険だと。悩んだが下山することにした。あと少しだったが、それがとても遠かった。なんだか涙がでてきて止まらなかった。
残り85m残し涙の下山
下山を開始。アタック開始から9時間が経過していた。
下山を開始したはよいが、体力はない上、もう足が踏ん張れない。一方で上からの落石も多く、止まって休むことも危険だという。で、ガイドと知らないチームのガイドが結果的におれの両腕をかかえるような形で下山を開始する。はやく下山しないと危ない。キボハットで1時間仮眠を取る時間をつくるのでそれまでがんばれとのこと。
5000m付近まで降りてくるとポーターの人たちがわざわざ上がって迎えに来てくれていた。ありがたい。両脇を抱えてもらいながらなんとかキボハットに到着。長かった。。。。とにかく遠かった。下り始めてからKiboHutまで6時間(アタック開始から15時間)が経過していた。
KiboHutで1時間仮眠
そして仮眠を1時間とったあと、なんと5時間もまた歩いてホロンボHUTに到着。当たりはもう暗くなってかなり冷え込んでいた。街灯はなく岩だらけの道で足を取られる。なんどもレスキューを進められたが、なんとか自分の足でたどり着きたかったので断った。結果、ポータさんに自分の荷物をもってもらっただけでなく、両脇を抱えられながらなんとかたどり着いた感じ。体力、気力ともに限界だった。
夕食は食べれず、極度の疲労。。。。
夕食はやはり受け付けず。すぐに就寝。高山は極端に食欲がなくなるため、もっとカロリーメイトなどの軽食をもってくればよかったと後悔。。。。